海外と取引していると、どうしてもモノの運送が必要になります。お客様と私たち、あるいは部品等の調達先と私たちという2者間で、どちらが運送料を払うか、輸送中の物品にトラブルがあったときにはどちらの責任とするかは重要な取り決めです。特に輸送にあたっては輸送業者に依頼することになり、その間私たちが手を下すこともできません。どんなに丁寧に梱包しても途中で落とされるとか、濡れるとか、きっとあるはずです。
日本国内での取引なら、言葉のカベがない上に意識も合わせやすく、一般的に取り扱いは丁寧なので比較的安心です。また輸送中に荷物をどこかに紛失してしまうこともこれまでの私の経験では個人的にもあったことがありません。
海外との取引だと、相手の商習慣も国内事情も違うので慎重にならざるを得ません。
しかし、少なくとも輸送においては、簡単に取り決めができる国際的に明快な区分があります。詳しくは書きませんがIncotermsと言い、どこまでをどちらの責任範囲とするかによって、取引を成立させるにあたって合意することになっています。
これまで特に大きなトラブルなくやってこれたのですが、先日イタリア向けの物品が税関で止まるということがありました。輸送費を抑えるために郵便局のEMSを使ったのですがこれがまずかったかも知れません。
イタリアは海外から入ってくる物品のチェックが厳しいらしく、何日も税関で止まるのが比較的普通みたいです。今回の物品もずーっとマルペンサで止まっていると、トラッキングが示していました。
さすがに10日以上止まってしまっていたことから、差し出した郵便局に問い合わせしてみました。もしも税関で止まっている理由が「通関を忘れているだけ」なら、問い合わせることで当該荷物へ意識が行って動き出すと思ったからです。ところが数日後の回答は、「税関で止まっているのですが、理由は不明です」のみ。それはトラッキングを見ればわかることです。この点は無能と言われてもしかたないでしょうね、郵便局。
お客様をこれ以上待たせるわけにも行かないので、結局同じものを再度製作し、今度はFedExを使って発送しました。やはりフィウミチーノで少々引っかかったようですが、1週間くらいでお客様の手元に届きました。FedExの方がはるかに輸送費は高額なのですが、通関などの時に引っかかると、FedExの方から問い合わせをもらえたり、スムーズにモノを動かすためにどうするか、の意識がはっきりしているように思います。輸送費は高額ですけど。
ミラノ税関で止まったままになっていた先発の荷物は、その後1ヶ月ほどして通関されずに戻ってきました。物品の価格に比べて、FedExの輸送費が重かったのでほぼ赤字でしたが、戻ってきたのはよかったです。誰か買ってくれないかな。
個人の事情ではありますが、もう一つ。
先日ネットでモノを買うにあたってTradeINNという、おそらくスペインに本拠があるショップに注文しました。ここは主にスポーツ用品を取り扱っていて、トレッキングとか自転車とか分野別のショップの集合体です。9月に注文すると数日で発送すると回答が来ました。
しかしなかなか到着しないので10月初旬、トラッキング番号を確認すると輸送中となっておりまだ国内に入っていません。その旨サービスに連絡すると、それぞれの国内事情があり、税関で数日〜1週間くらいかかることがあるといいます。上記の通り、そんなこともあるだろうとしばらく待ちましたが、1ヶ月経っても2ヶ月経っても状況に変化がなく、サービスに問い合わせをしてもレスポンスが返ってきませんでした。いよいよ年明けにもう一押ししたところ、注文から3ヶ月経ったのでレスポンスは終了しました、という回答。これまでの問い合わせになんの努力もせず、輸送会社にコンタクトすることもなく終了とは、無責任にもほどがあると思いました。
こんなことにいつまでも気分を害している方がよほどムダなので、泣き寝入りとしてももうコンタクトしませんが、海外との取引はいろいろなところに地雷ありと、つくづく思いました。損した分はせめて仕事にフィードバックしたいと。
様々考え直すことが発生した2019年でした。
それにしてもTradeINN、ウェブサイトにはいいことばかり書いていますが、こんな最低の対応をされるので皆様におかれましては気をつけて。