ここのところオプティクスの話が多いので続けましょう。
仕事柄、自社製品に多くのオプティクスを搭載します。オプティクスってのはミラーとかレンズとかプリズムの総称ですが、レーザー用とうたう場合普段の生活で目にするようなものとはまったく違った外見をしています。
洗面所の鏡と何かが違う 何が違う?
光を反射する物質としてすぐに思い当たるのは金属で、お宅の洗面所にもある鏡は透明な板ガラスの裏面に金属膜をつけたもののはずです。しかし金属膜は強力な光を損失することなく反射させるのには実はあまり向いていません。もし洗面所の鏡をレーザーに使ったとしたら・・1回反射するごとに10%も出力が落ち、場合によっては金属面が強力な光によって焼けてしまうでしょう。レーザーに負けない強さと究極の反射率を実現させるために、ガラス板の上に金属膜の代わりに多くの場合酸化物などの薄い膜を多層積層したものを使います。この膜は設計に従った精密なもので一部の色を持つ光だけを強力に反射するので、金属的な輝きがなく、代わりに色付きガラスのような特有の見え方をします。色付きガラスと違うのは反射面だけに色がついていることと、見る角度によって色が変わることです。
以上のことはレーザーを使う方々には一般的な常識になっているのですが、知識としてあるのと、実際に使うことの間にも深いギャップがあります。同じ技術で作っても、同じ材料で作っても、ちゃんと使えるものと、用途によっては使えないものがあります。不思議ですが。
生まれが違えばぜんぜん違う。例えスペックが同じでも。
レーザーは部品を含めて汎用性があまりなく個々の部品の用途が限定されるので、一部を除いて必然的に少量多品種生産です。工業製品としては最小規模の生産量かと思います。反面求められる性能は究極であるがゆえ、企業間・製品間のバラツキが存在すると考えています。さらに同じ会社で製造しても短期的、長期的な変動がありますし、比較的小さい企業が多いので買った買われたも頻繁です。昔はレーザーミラーと言えば○○○と言われていた会社でも、今は品質的にちょっとアレだったり、すでにどこかに買われて会社が存在しなかったりします。
経験者の話を聞け いや聞いてみたらどうかな?
会社ができたとかなくなったとかの情報は誰でも知ることができますが、品質の話や官能性能(数字に表せないけど他のものより耐パワー性が高いようだだとか、使用感がよいとか)については使ってるからこそわかる部分がたくさんあります。
問い合わせもらえれば、そのあたりのミラーならここのがいいとか悪いとか高いとか安いとか、いろいろアドバイスもできると思います。
アドバイスだけして、結局仕事にならなかったってことも度々ありますけどね。仕方がない。