エンジニアと土方

エンジニアのイメージの変遷

エンジニアのイメージはこの20年くらいですっかり変わりました。間違いありません。エンジニア=工学者または工学的な知識を元に仕事をする人というのが本来の意味合いだと思います。
それがいまや世の中の人から見たエンジニアという名称に対するイメージはソフトウェアを作ったりする人が第一義のようです。試しにウェブで検索すると実情がよくわかります。ずらっと出てくるのはIT関連の検索結果であって、ハード系のものはほとんどありません。

ソフトウェアエンジニアとかシステムエンジニアという言葉があり、そして実際工学的なスキルをベースにソフトウェアで仕事をする人がいますが、もっと広義の捉え方をされているようです。つまりプログラマーとかWebデザイナーまで含んでいるようです。もはや工学のバックグラウンドの有無は関係なく、文系出身であってもそのように呼ばれるようです。

ハードウェアエンジニア

一方で、我々のようなハードウェアを扱う人間に対する、事情をよく知らない世間の人の「エンジニア感」は極端に薄れているのは間違いありません。
ああ、なんてこと。ソフトウェアの重要性が高まり、多くの人がその分野で働くようになったことが理由でしょうが、こんなに追いやられるとは。

もはや我々は職業を聞かれたときに単に「エンジニアです」とは言えなくなったわけです。面倒くさいですがかんむりをつけてあげなければ、きっと相手はITエンジニアと誤解するから。
世の流れですからもうどうしようもありません。

新たな呼称(自称)

私たちの仕事はレーザーだけじゃなくて付帯装置も一緒に作る。レーザーを設置する場所についても意見を出し、場合によっては実地を整える。冷却が必要ならそのための装置を入れ、配管する。空調が必要なら設置もする。野外での作業こそないけれど重いものを運んだり、ずっとネジをまわしたり、延々とモノを調整したりと泥臭くある意味危険で神経をすり減らすことが多い。しかし完成されたレーザーはきれいな外観をして、快適な環境でユーザーに引き渡される。しかも本体だけじゃなく、まわり一帯ひろい範囲にわたって守備範囲で、一緒くたに引き受けて一度に納める。

私の父は大工であったけれど、常に土木屋さん始め、鳶、左官屋、電気工事屋その他の多くの職の人たちと仕事をしていました。子供ながらたまに現場に顔を出すと、真剣にしかし和気あいあいと現場仕事にいそしんでいて誰もがキリッとかっこよく見えたのを、今でもかんなくずの匂いと一緒に思い出す。

レーザーを建物と見立てれば、私たちの仕事はまさに土台から作っているようなもの。じゃ、レーザー土方ってことでいいんじゃないか。デリケートというよりパワフル、洗練というよりもマッシブなものを作っている点からしても、なかなか正しいように思える。

土方という名称はWikiによれば蔑称の一つとあるけれども、一方で誇りを持って自らすすんで土方と称する方もいらっしゃるようで、私もこれに与したい。かつては土木建設の高度な技術集団を指す言葉であったはずで、近年イメージが理由もなく毀損させられているだけだと思う。
これを受けてか、ピペット土方とかIT土方という言葉も聞くが、どちらかというとネガティブなイメージで語られる傾向があるようだ。内容を聞いてみると、私が土方から受け取る印象と異なっていて、もっとずっと悲惨だったりする。

肩書きの意味

私は私。あるときはエンジニア、あるときはコンサルタント、あるときはセールス、そしてあるときは事務職として活動しています。会社が小さいからね。そうでなくても職名から仕事の内容を想定できる時代は過ぎたのかも。

今や職名や階級に一定の規則はなくて組織が自由につけてるし、名ばかり○○といった、悲しいかな実情を名前に反映されていないことだってたくさんある。肩書きはその人の仕事上の立場を表すものなんだけど、全部じゃない。
だから名刺には書かないけど。

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