高抵抗率シリコン

THz波から赤外にかけて高透過率を持ち、特定の吸収を示さない高抵抗率シリコンは当該領域の透過オプティクスとしてよくお問い合わせを受けます。

フラクシではお客様のご要望にすぐお応えできるよう、ブール(結晶のかたまり)とウェハ材の両方を常時ストックしています。現在の在庫は抵抗率20kΩcm以上の材料が基本です。ドープなしの真性半導体です。

シリコンが示す抵抗率は、添加される不純物の濃度や欠陥密度に応じて変化します。トランジスタなどの電子デバイス用に使われるシリコンは、抵抗率を用途に応じた適当な範囲に収める必要があるため、結晶成長時にはP(リン)やB(ホウ素)といった不純物を適当な量だけ添加(ドープ)し、0.1~10Ωcm程度で作られることが多いようです。

シリコンの応用はそのほとんどが電子デバイス用であることから、流通しているシリコン結晶のほとんどがドープされたもので、ドープなしの結晶は相対的に希少です。さらに高抵抗率を達成するためには不純物や欠陥を徹底的に除外する必要がありますが、それは高純度・高品質ということに他なりません。つまり高抵抗率シリコンは数多く流通するシリコン結晶の中でもきわめて稀ということです。
しかし近年はMEMS用の基板など、応用分野が広がっているため、以前よりも流通量は増えてきたようです。

純粋なシリコンがもつ抵抗率は理論上200kΩcm以上ですが、実際の結晶成長では結晶が取り込む不純物や欠陥を完全に避けることはできないので、比較的入手しやすいものは20kΩcmくらいになります。

実際の話、20kΩcmあると光の透過材としては十分な性能を持ちます。入手の容易さや価格を総合的に考え合わせると、最もよいバランス点が20kΩcmになることから、弊社の基準もここに合わせたということです。
事実10kΩcmと20kΩcmの材料価格差はそれほど大きくありません。


最後にニュースですが、最近50kΩcmの材料が入庫しました。出回る量が20kΩcmとでは比較にならない(というか、ブールでこの抵抗率を保証したものを私も初めてみた)ので、もしも使ってみたい方がいらっしゃる場合にはお問い合わせください。
こんなこと書きたくはありませんが、文字通り数量限定・早いもの勝ちとなります。

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