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Dawn

THz、レーザー、その周辺、およびPHLUXiに関わる用語を集めて解説しています
(内容は順次充実させていきます)

分類

用語

説明

一般

テラヘルツ(THz)波

フラクシの技術を代表する柱の一つであり、本ページにも度々現れるTHz(テラヘルツ)波。

ヘルツ(Hz)は周期的振動を表記するための単位で1秒間の振動回数、テラは10の12乗を意味する補助単位ですので、1THzならば、1秒間に10の12乗回振動する波というわけです。ここでは電磁波のうちそのような波をTHz波と呼び習わしています。

「THz波は何THzから何THzまでなのか?」とはよく聞かれる質問ですが、いまのところ厳密な区切りはないようです。0.3THzくらいから数THzだ、という研究者もいれば、0.1THzから100THzまではいいだろう、という方もいます。電磁波の速度は真空中で一定ですので、周波数が変わると波長が変わります。1THzは波長にして300umです。

その中間的な位置づけから、テラヘルツ波と呼ぶところあり、テラヘルツ光と呼ぶところもあり。

 

 

THz
  UV

紫色(violet)の上にある(ultra)光ということでUV。空にかかる虹の場合、UVは紫の下にあるはずだが、光のエネルギーとして比較すれば納得がいく。女性の敵の一つ。

  レーザー

フラクシを体現する技術の柱の一つです。語源は現象を表すフレーズの頭文字を取ったものですが、現在、一般的には誘導放出を利用した光源ないし光を指します。

誘導放出は光子のなだれ現象であって、レーザーのもととなる材料(レーザー媒質)における増幅が繰り返されることにより、高い出力、スペクトル純度、コヒレンシーを備えた電磁波が出力(レーザー発振)されます。

レーザー媒質にもさまざまあり、気体、液体、固体(誘電体、半導体)のいずれでも効率的にレーザー発振し、実用に供されているものがあります。フラクシで採用されているのは誘電体(一般的に固体レーザーと称する)と半導体だけですが、他の相に比べて小型でハンドリングが容易であるためです。また光ファイバをレーザー媒質としたファイバレーザーはこれらと別のカテゴリーに分類されていますが、効率の面で半導体を除く他のレーザーを上回るためにフラクシでも注目して開発しています。

20世紀の大発明の一つということなのですが、半導体レーザーを除いて、光源の市場規模はびっくりするほど小さいと個人的には思います。レーザーがなければ実現しなかったことはたくさんあるのかも知れませんが、仕事として携わる身としては・・・

  固体レーザー

レーザーの分類の中で、誘電体結晶またはガラスをレーザー媒質として使ったレーザーの総称です。レーザー活性を持たせるため、希土類や遷移金属をイオンとして結晶中に少量添加します。ルビーやYAGなど、レーザーが世に現れてすぐに登場した種類です。1960年にMaimanによって最初に発振したレーザーが3価のクロムイオン(Cr3+)を添加した固体のルビーレーザーでした。

レーザーが発振するためには、レーザー媒質にエネルギーを投入(励起)する必要がありますが、固体レーザーは光で励起することが必要です。現代の社会において、最も入手しやすく取り扱いが容易なパワーソースは電気ですから、電気-光変換をする素子がコンセントと固体レーザーを媒介します。かつては放電ランプを用いることが多かったのですが、効率と寿命に優れた半導体レーザーの登場と、その低価格化によって現代の固体レーザーは半導体レーザー励起が主流になりつつあります。とはいうものの、一部のアプリケーションではランプ励起の優位性が保たれているようです。

フラクシでは現在、両方のタイプを併用しています。

  ファイバレーザー

繊維状の細いガラスの中心部に、屈折率差による光の閉じこめ構造を持たせたものが通常通信で用いられる光ファイバですが、この導波路中に固体レーザーと同様の活性イオンを添加するとレーザー媒質となります。

光ファイバは現代的な通信に必須の技術であり、徹底的な改良が進んだため、超低損失のガラス材料が容易に入手できます。その結果、レーザー媒質としても極めて損失が小さく、他のレーザーと比較して長いファイバ導波路によって利得の増加が見込めるのとあいまって、効率的でかつ高出力なレーザーが開発されています。また光の取り回しやすさや機械的な安定性に優れるため、特に産業界から期待されるレーザーとなっています。

近年注目を集めるファイバレーザーというものの、初めての発振は意外に早く、Maimanのレーザー発振の翌年、1961年には発振しています。その後、Ndファイバレーザーが光励起によって実現していますが、実用化は光通信が急成長する1980年代後半で、エルビウム(Er)イオンを活性種として作られた増幅器と言えます。光通信がこの技術を牽引しましたが、通信バブル崩壊と他の産業からの要望により、パワーソースとしてのファイバレーザーがイッテルビウム(Yb)イオン添加のファイバによって急激に発展しています。

ErそしてYbによるCW赤外レーザーからスタートしたこのレーザーですが、ツリウム(Tm)イオンなど、他の活性種によるパワーレーザー、パルスレーザー、多波長発振もすでに実用領域にあります。

  半導体レーザー

半導体の持つバンドギャップ間遷移による発光を利用したレーザー(LDまたはDL)。多くの場合電流注入により発振させます。つまり乱暴な言い方をすれば、電球と同じく電気をつなげばつくということ。

固体のレーザー媒質という点では上記のレーザーと同じですが、
・電気からレーザー光を直接発振すること
・効率が極めて高いこと
・素子が超小型であること
・バッチプロセスによる高い量産効果
などから他のカテゴリーのレーザーとはある意味異質であり、レーザーを「LD」と「LD以外」に分類する場合もあるほどです。

直接遷移が必須なので、実用的なLDは長年GaAs、InP系など、発光波長が赤~赤外にある材料に限られてきましたが、画期的な青色LEDの出現とそれに続く開発の結果、400nm前後で発振するGaN系LDが出現し、高密度記録(Blu-ray)やレーザーディスプレイなどの先端アプリケーションが開拓されました。

また一方で近年、p-n接合を形成できない(電流注入励起が使えない)材料を光励起(他の光源で励起する)により発光させるレーザー(OPSL)が開発され、従来型レーザーの置き換えだけでなく、従来得られなかった波長や出力領域へのアクセスが進んでいます。

  ガス(気体)レーザー

気体をレーザー媒質として使用したレーザー群の総称。ポピュラーなものにCO2レーザー、アルゴン(Ar)イオンレーザー、He-Neレーザー、エキシマレーザーが挙げられる。

CO2は高効率、大出力が特徴で、現在も加工用レーザーとして広く使用されている。Arイオンは青、緑で発振するレーザーだが一般にサイズが大きく、固体レーザーの第2高調波やOPSLに代わられようとしている。He-Neは小出力で、代表的には赤色で光る。小型で安定なため、光学系のアライメント(軸揃え)に今でもよく使われる。エキシマは直接紫外で発振するレーザーであり、媒質によって300nm台~200nm以下の様々な波長で発振する。高出力の紫外レーザーとしていまだに匹敵するものがなく、リソグラフィを始めとする短波長が要求される用途に広く利用されている。

フラクシではガスレーザーを使用した製品を扱っていませんが、上記のように固体、ファイバ、LDではまだ置き換え不可能な要素を持っており、産業界でも広く使われています。

  波長変換

フラクシが現在THz波を発生させるために使っている手法が波長変換で、非線形光学結晶という分類の、ある特別な性質を持った固体結晶を使用します。

光学非線形性には高次のものがありますが、実用的な波長変換には2次の非線形効果が使われています。この非線形性を使って、入射するレーザー光を異なる波長の2つの光に分けたり(光パラメトリック過程)、2つの光から1つの異なる波長の光を合成したり(光混合過程)します。

  光パラメトリック過程

パラメトリック過程は3つ以上の光子がエネルギー保存則と運動量保存則(位相整合条件)を満たしながら媒質に吸収・放出される現象です。2次の非線形光学効果の一つで、積極的に利用するためには、光学非線形性の高い結晶材料を用います。2つの条件が整っていればさまざまなエネルギー(波長と言い換えても周波数と言い換えてもよい)を持った光子が関与できるので、うまく使うと例えば1つのレーザー光から、任意の組み合わせの2つの光を生み出せます。

通常、結晶軸と励起光の入射軸の角度を調整することで、その角度において位相整合条件が満たされる2つの光を得ています。入射する光をポンプ光、出射する2つの光をシグナル光、アイドラー光と呼びます。シグナルとアイドラーは相補的ですが、必要な光をシグナルと呼ぶケースが多いようです。任意の光が得られるというものの、現実的にはレーザーの特性や、結晶材料の性質によって制限されます。

  光混合過程

2つの光からそれらの周波数和(周波数差)と等しい周波数を持つ1つの光が取り出される過程が和(差)周波混合です。同様に光子のエネルギーと運動量に関する条件で制限されますが、共振器が不要です。
このプロセスを応用してTHz波を作り出そうとする場合には、従来のレーザーで使われていた結晶材料では当該周波数における透過率、位相整合条件がネックになりましたが、現在ではDASTに代表される有機結晶を用いることにより効率的にTHz波を発生できるようになっています。


和周波混合において入り口の2つの光が同じものの場合を特に第2高調波発生と呼びます。基本のレーザーから短波長の光を得るために一般的に用いられる方法で、世の中にある緑色のレーザーは大半がこの方法によって赤外レーザーの波長を変換したものです。シーケンシャルに使用すれば容易に紫外光にもアプローチできます。

遠赤外〜テラヘルツ(THz)波に関わること 光学材料 THz波をハンドリングするためには当該光を透過する材料も極めて重要になります。THz波が透過するかどうかは肉眼ではまったく判断できません。ガラスなど、通常目にする透明な材料のほとんどはTHz波を透過しません。樹脂や半導体の一部、ダイヤモンドは良好な透過性を示します。
理化学研究所にはさまざまな物質のテラヘルツ領域における光学特性を集約した「テラヘルツデータベース」があります。
  Tsurupica

材料およびそれを用いた光学部品の商品名。理化学研究所と(有)パックスは数年前から透過材料の開発に取り組み、Tsurupicaを見いだしました。ポリエチレンと異なり可視光においても透明で、かつTHz波と赤色光の屈折率が等しい画期的な材料です。高精度の切削加工が可能で、レンズにも、肉眼による確認が必要な窓材にも適しています。→Productページに詳細が記載されています。

※各国の研究機関や企業で広く採用されており、研究論文にも固有名詞として記載されていることがあります。また、Photonics Spectra誌の付録である光学材料チャートにもTHz透過材料名としてTsurupicaが掲載されています。

  ポリエチレン 従来からよく知られたTHz波の数少ない透過材料です。よくレジ袋に使われている一般的な素材で、乳白色で可視光はほとんど透過しませんが、THzの透過性が高いために用いられています。
窓材には比較的堅い高密度ポリエチレン(HDPE)が使われます。良好なTHz波用透過材料ですが、72cm-1近傍に弱い吸収があります。5mm厚で50%ほど吸収するとされています。
低密度ポリエチレン(LDPE)は140℃近辺で軟化するため整形が容易です。
カーボンブラックを混入したブラックポリエチレンは黒色を示し、ゴミ袋や梱包袋として利用されています。
  TPX これもポリマーの一種で、可視領域で透明であるためTsurupica同様、アライメントが容易な材料として使われます。軽量で入手もしやすい一般的材料ですが、やや湿度に敏感で、長期間使用すると白濁してくるようです。
  シリコン

これもTHz波の透過材料です。THz帯の透過材料としては、半導体素子用の材料とは異なり、フローティングゾーン成長のノンドープ、かつ高抵抗率の真性半導体が用いられます。かつては入手が大変困難だったのですが、近ごろの太陽電池、MEMSなどの先端応用からの要求があり、だいぶ入手しやすくなってきています。屈折率が高いため表面のフレネル反射損失はやや大きい。

高抵抗シリコンの成長にはは、通常の半導体用大型ウェハを作るチョクラルスキー(CZ)法とは異なる、フローティングゾーン(FZ)法が採用されます。結晶の不純物を除去しながら結晶成長するのに向く方法ですが、直径はCZ法ほど大きく取れません。

高抵抗シリコンは通常のシリコンと比較して、テラヘルツ領域で吸収係数の改善がなされます。右の計算値で見ると、特に1THzより低周波側で顕著であることがわかります。

si abs
  水晶 おおよそ40umより長波長で透明となる材料です。100umよりも長波長では透過率も高く、透過帯域が適合すれば、比較的入手しやすく優れた材料と言えます。
  サファイア 100umより長波長で透明。500um以上では優秀な透過材料です。
  ダイヤモンド 言わずと知れた宝石の王様ですが、その硬度だけでなく、熱伝導率、放射線耐性など物性的に優れた点が数々あります。THz波に対する透過率にも優れ、先端科学技術材料として注目を集めています。
単結晶ダイヤモンドは高価なのですが、多結晶のCVDダイヤモンドは比較的安価です。高品質のものは透明、品質の低いものはグレイン境界の着色を反映して茶色から黒となります。
固体レーザー レーザー活性イオン 固体、ファイバレーザーを発振させるために添加する微量ないし少量のイオン。下記のようにある種の希土類または遷移金属が用いられることが多い。
  希土類(RE)イオンレーザー 希土類(レアアース:Rare earth)は強力な磁性を発生させるために用いられる元素で、今や強力な電気自動車のモーターに(スピーカーにも)欠かせない存在となっています。地球上の分布が偏っていて、最大の供給元である中国とのやり取りでややつまづいている感がありますが。この元素のシリーズのほとんどが、固体・ファイバレーザーの活性イオンとなりさまざまな光を生み出しています。難しい説明は他に譲るとして、これらのイオンが発する赤外~可視域の発光スペクトルは、イオンを添加する結晶(ホスト)の種類にあまり依存しません。 RE
  Nd(ネオジミウム)

Ndは一般的には1060nm近傍の発光が最も強く、940nm近傍と1300nmの発光がこれについでいます。1060nmはホストに関わらず最も容易なレーザー発振遷移の一つで、ほとんどのホストで室温発振が得られます。

  Tm(ツリウム)

Tmの場合、一番よく使われるのは1.8~2.0ミクロン帯にある発光。うまく使うと量子効率が1を超える(つまり、発光光子数>励起光子数)、ちょっと特殊なエネルギー準位の構造を持っています。比較的吸収・発光のバンドが広く、チューナブルレーザーとしても機能します。

水の吸収が強く現れる波長域にあり、人間の目に対しても、網膜(一度損傷すると回復しない)に到達するまえに角膜、水晶体でほとんど吸収されるためにアイセーフレーザー(目の損傷にとって、しきい値が高い)となります。

  Er(エルビウム)

Erの独特な発振波長は固体レーザーでは3ミクロン前後。ここは水の吸収が最も強くなるあたりで、吸収長(入射光が1/eに吸収減衰されるのに必要な長さ)はミクロンオーダーにも達します。とはいうものの、微細な吸収線が立て込んでいるため、わずかな波長の違いで吸収長が何倍も変わります。医療などデリケートなアプリケーションにおいてはホストの違いが決定的な性能差となる、ということもあり得ますので、慎重な検討を要するでしょう。

一方、ファイバレーザーでは固体とは異なった遷移を使った1.55ミクロン帯がメインとなります。ハイパワーで広帯域の発振器、増幅器がErファイバで実現した上に、ファイバ用ガラスが透過率や分散特性に優れる波長であるため、光通信では最もポピュラーな波長となっています。

  Yb(イッテルビウム) 他のイオンと比較してシンプルなエネルギー準位の構造(自由空間では1つの励起準位と基底準位の2つしかない)を持つため、付帯的な現象が起こりにくく、レーザー動作を考える上で理想的とも言えます。シンプルさゆえ、室温でのレーザー発振のためにはしきい値が高く、実用的でなかった時期もありましたが、LDの登場による設計の自由化が、Ybの持つ本質的な優位性を確立し、固体・ファイバともにハイパワーレーザー用イオンとして最もポピュラーになりました。 Yb
  遷移金属(TR)イオンレーザー 遷移金属はイオンの価数が変わりやすいだけでなく、ホストによって光学特性が大きく変わる、移り気な元素。吸収や発光の特性は一般にブロードで、ある範囲で波長を選べるレーザー(波長可変レーザー)となることが多い。3価のイオンを適用したレーザーが多かったものの、近年4価、2価といったイオンにより、中赤外域の波長可変レーザーが達成されるようになってきました。
  Cr(クロム)

世界で初めて発振したルビーレーザーはCr3+を使ったものですが、当時の発振はR線と呼ばれる発光を用いた固定波長での発振でした。3価のイオンではアレキサンドライト(クリソベリル)、エメラルド、LiSAFなどをホストとして700-900nmの発光となり、4価ではフォルステライトの1100nm前後の発光、2価ではZnSeなどによる2.2-2.6ミクロン帯の発光が実現しています。

ちなみにアレキサンドライトは、ロッドの温度を上げないと発振効率が取れない、珍しいレーザー媒質です。その理由は準安定な蓄積準位がレーザー発振の上準位とは別にやや下方にあり、ここにある分布を熱的に励起して上準位へ持ち上げる必要があるから。通常100℃~200℃に加温して使われます。

  Ti(チタン)

3価のTiを添加したサファイアは固体レーザーの中でも最も広い波長範囲で発振可能なレーザーです。その広帯域は波長可変レーザーとしてだけでなく、超短パルスを発生させるためのレーザーとして多く用いられています。各スペクトルの位相を丁寧に制御すれば数fs(フェムト秒)という短パルスを得ることも可能です。

このレーザーはコヒーレントTHz波を発生させる主要な方法の一つである、光伝導アンテナを使用した方法においては発生、検出の両方に用いられています。

  その他のTRイオン Co(コバルト)、Fe(鉄)、V(バナジウム)といった元素もそれぞれ特有の発振を行うが、まだ上記の2つほど一般的ではないようです。
  波長可変レーザー

一般的には波長や周波数がユーザーサイドで変えられるレーザー。ユーザーがある範囲の波長または周波数を持った光を選択的に取り出すことのできる光源。この言葉の存在は裏を返せば、普通の光源はそうでは(波長を選択でき)ないということ。レーザーの発光媒質は程度の違いはあっても、発光に固有の幅やバラエティを持っています。波長可変レーザーはこの選択肢の中から、より狭い発振スペクトル幅で光を取り出し、さらにその光が変えられるということになります。発振スペクトル幅が0.01nmであれば1nmの範囲で調整できても波長可変レーザーと言えるかも知れません。


広く波長を変えられるレーザーを一つ例に取るなら、固体レーザーならチタン(Ti)イオンを添加したサファイア(Ti:sapphire)がその代表的なものの一つです。レーザー下準位に発光遷移した後、フォノン緩和するため、フォノン終準位型のレーザーと言われます。広大な発光領域から狭いスペクトルを選択的に取り出すためには、共振器の内部に波長を選択する素子を導入します。波長可変レーザーとするためには、この素子には、1)単一波長だけ損失が低く、他の波長では高損失を与える、2)低損失を与える波長が、何らかの方法で変えられる、ことが求められます。一般的には、単一偏光で動作するレーザーに複屈折フィルターや回折格子、プリズムなど材料の分散を利用して、限られた波長に対してのみ低損失の共振器が組まれるように素子を入れるケースが多くあります。


フラクシで作られる周波数可変のTHz光源は、光パラメトリック過程により直接THz波を発生するもの(TPO)と、光パラメトリック過程で得られる波長可変光を使った差周波混合が使われています。光パラメトリック過程はTi:sapphireと違い、発光する範囲がイオンの発光ではなく、励起波長や結晶材料の複屈折などの要因で決まります。光パラメトリック過程のセクションで説明している通り、結晶の角度で波長が選択されます。差(和)周波混合の場合、入力する2つの光のいずれかの波長を上記のような方法で変えることで、出力される光の波長を変えることになります。

     
その他 「光は東方より」 古代ローマのことわざ「Ex oriente lux, ex occidente lex」から一部を抽出した日本語訳です。日本列島の東にある仙台を拠点として、新しい光技術を発信したいというフラクシの姿勢を表現しています。
  フラクシ 会社名。語源を尋ねられることが少なくありませんが、ご想像にお任せいたします。社長に直接尋ねれば教えてくれるかも知れません。

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